古墳時代(古墳の特集)

このページは私が学んできたことを蓄積・整理することを目的としています。詳しくは 私の理由をご覧ください。

区分

「古墳と呼ばれる墳墓

専門用語「古墳」

古墳
「こふん」

「古墳」という言葉は文字どおり「古い墳墓」という意味ですが、多くの皆さんは毎日の生活場面ではその意味でお使いの琴でしょう。

けれども、その語が歴史学や考古学の分野で使われると、専門用語となり、「古墳時代に築造された墳墓」という定義になるそうです。他の時代に作られた墳墓はことなる名称で呼ばれるのだそうです。

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古墳の形

four shapes of kofun tumuli

古墳にはいくつかの異なる形状があります。前方後円墳が代表的で、その他に、前方後方分、円墳、方墳などが続きます。

「前方後円墳」は。英語で「keyhole-shaped kofun(鍵穴形古墳)」と呼ばれますが、日本語では「方形部分が前、円形部分が後」という理解を表現していることになります。岩橋千塚古墳群では「前方後方墳」は見つかっておらず、大半が円墳となっています。

前方後円墳の原形

私が本(『いつ国家は成立したか』都出比呂志氏著)から学んだとは次の通りです。

  • リーダーが住民と一緒に共同墓地に埋葬されたのは弥生時代前期までだった。
  • 弥生時代中期末には、リーダーとその家族のための墓が共同墓地から離れて別々に作られたことがわかってきた。
  • そして、弥生時代末期には四角い祭壇が方形や円形の墳墓の前に作られ始めた。その墳丘の形は前方後円墳にとても似ているようになった。

形と大きさ

私は古墳の形と大きさについての有力な説を次のように学びました。

  • 古墳の形と大木社被葬者の社会階級と政治権力に基づいているにちがいない。
  • 前方後円墳が最高位であり、以下、前方後方墳、円墳、方墳の順になっていたと考えられる。
  • 同じ形の中では、古墳が大きいほど、政治的権力が大きかったにちがいない。

日本でいちばん大きな古墳

日本でいちばん大きな古墳は大阪府堺市にある全長486mの仁徳天皇陵です。全長486mです。仁徳は第十六代の天皇で、実在していたとすれば、4世紀末から5世紀前半にかけて在位していたと考えられているようです。日本にあるおよそ16万基の古墳のうち40基ほどが200mを越えているそうです。

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日本の大型古墳

岩橋千塚古墳群の歴史を考えるとき、古墳時代の日本列島の歴史状況を知ることが有益なことは明白でしょう。大型古墳の分布がヒントになるにちがいありません。200m以上の古墳のリストは次のようになります。(古墳名は宮内庁治定の陵墓を示します。)

3世紀

200m以上の古墳まとめ(3世紀)
地域 古墳名 全長 時期 古墳群名 所在地
奈良盆地南東 箸墓 276m 3C中頃 纏向 桜井市
桜井茶臼山 208m 3C後半、箸墓のあと 鳥見山
西殿塚 234m 3C後半 萱生 天理市
メスリ山 230m 3C後半から4世紀初頭 鳥見山 桜井市

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4世紀

200m以上の古墳まとめ(4世紀)
地域 古墳名 全長 時期 古墳群名 所在地
奈良盆地南東 行燈山 242m 4C前半 柳本 天理市
渋谷向山 300m 4C後半
島の山 200m 4C末から5C初め 馬見 奈良県川西町
巣山 204m 4C末から5C初め頃 馬見 奈良県広陵町
奈良盆地 佐紀陵山 207m 4C後半 佐紀盾列 奈良市
佐紀石塚山 218m 4C後半
五社神 275m 4C
大阪府南河内 津堂城山 210m 4C後半 古市 藤井寺市
仲津山 290m 4C末頃
大阪府泉南 摩湯山 200m 4C後半 - 岸和田市
京都府 網野銚子 201m 4C末から5C初頭 - 京丹後市

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5世紀

200m以上の古墳まとめ(5世紀)
地域 古墳名 全長 時期 古墳群名 所在地
奈良盆地南西 室宮山 240m 5C前半 葛城 御所市
築山 208m 5C 馬見 大和高田市
新木山 200m 5C前半 奈良県広陵町
奈良盆地 宝来山 226m 5C初め 佐紀盾列 奈良市
コナベ 204m 5C前半
ヒシャゲ 219m 5C中頃から5C後半 奈良県佐紀町
ウワナベ 255m 5C中頃 奈良市
市庭 253m 5C
大阪府南河内 墓山 225m 5C初め 古市 羽曳野市
誉田御廟山 425m 5世紀前半
市ノ山 230m 5C中頃から5C後半 藤井寺市
岡ミサンザイ 245m 5世紀後半
大阪府泉北 上石津ミサンザイ 365m 5世紀前半 百舌鳥 堺市
大仙陵 486m 5C中頃
土師ニサンザイ 300m 5C後半
大阪府三島 太田茶臼山 226m 5C 三島 茨木市
大阪府泉南 西陵 210m 5C前半 淡輪 大阪府岬町
岡山県 造山 350m 5C前半 - 岡山市
(三須)作山 282m 5C中頃 - 総社市
群馬県 太田天神山 210m 5C前半 - 太田市

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6世紀

200m以上の古墳まとめ(6世紀)
地域 古墳名 全長 時期 古墳群名 所在地
大阪府南河内 河内大塚山 335m 6C中頃かそれ以降 古市 松原市
奈良盆地 見瀬丸山 330m 6世紀後半 - 橿原市

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私なりのまとめ

岩橋千塚古墳群の被葬者に直接に関係がありそうですので、ヤマト王権と朝鮮半島の関係に私は興味があります。

日本と朝鮮半島の関係を見るまえに、私にはヤマト王権そのものを適切に理解する必要がありまが、大型古墳の分布状況にはそのヒントが含まれているように感じます。

大型古墳のリストから私がわかったことは次のようになります。

  • 5世紀における古墳の大きさと数を考えると、その時代に人口増加があったにちがいない。その理由は少なくとも二つあげられるだろう。
    • 農地の拡大と収穫量の増大につながった鉄器の普及。
    • 摂取栄養の改善につながった蒸し器(甑)や竈などの新しい調理道具の導入
  • 大型古墳の分布は、初期の皇室がいくつかの系統に分かれたことを想像させる。厳しい派閥争いがあったのかもしれないが、古墳自体はそのことについての何も語ってはいない。
  • しかしながら、大型古墳の分布はその後継者争いの結果を示しているのかもしれない。陵墓の位置をあわせて考えると、その推移はつぎのようになるだろう。
    • 3世紀中頃から4世紀後半まで、奈良盆地南西部の柳本古墳周辺地域 。(最初のヤマト王権)
    • 4世紀後半から5世紀の初めまで、奈良盆地北部の佐紀盾列古墳群周辺地域 (奈良盆地南西部の馬見古墳群域からの指導者も政権において重要な役を果たしたにちがいない。)
    • 5世紀の前半から6世紀中頃まで、現在の大阪府南部の百舌鳥・古市古墳群周辺地域
    • 6世紀中頃以降、奈良盆地最南部の飛鳥地域。

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和歌山市内の古墳

私が集めた情報に基づく和歌山市内の前方後円墳リスト(古い順)

基本情報として「和歌山県教育委員会・埋蔵文化財地名表」を使用しました。さらに、「情報源」に示す書籍やウェブサイトを参考にし、当サイト所有者の理解に基づき編集を加えました。

No. 名称 場所 全長 築造(推定) メモ 情報源
1 井辺前山24号墳 岩橋千塚・井辺前山 墳丘60m 古墳時代前期か中期 庄内期土器破片 和歌山県文化財センター
(2021, p.37)
2 花山8号墳 岩橋千塚・花山 52m 5世紀初頭 鉄剣、ガラス玉など 「和歌山市の文化財」
3 花山7号墳 岩橋千塚・花山 35m 5世紀初頭 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
4 六十谷2号墳 紀ノ川北岸地域 27m 5世紀初頭 haniwa 「和歌山市の文化財」
5 西陵 大阪府岬町 210m 5世紀前半 国史跡、紀小弓 岬町ウェブサイト
6 花山10号墳 岩橋千塚・花山 44m 5世紀前半 粘土槨 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
7 花山20号墳 岩橋千塚・花山 35m 5世紀前半 埴輪 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
8 花山44号墳 岩橋千塚・花山 30m 5世紀前半 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
9 茶臼山 紀ノ川北岸地域 後円部36m 5世紀中頃 円筒埴輪 「和歌山市の文化財」
10 花山36号墳 岩橋千塚・花山 42m 古墳時代中期 埴輪なし 和歌山県文化財センター
(2021)
11 宇土墓(淡輪ニサンザイ) 大阪府岬町 200m 5世紀後半 陵墓、垂仁天皇皇子 岬町ウェブサイト
12 車駕之古址 紀ノ川北岸地域 120m 5世紀後半 金の勾玉 「和歌山市の文化財」
13 花山6号墳 岩橋千塚・花山 49m 5世紀後半 埴輪 「和歌山市の文化財」
14 大谷 紀ノ川北岸地域 67m 5世紀末〜6世紀初め 国史跡、鉄製馬冑 「和歌山市の文化財」
15 井辺前山7号墳 岩橋千塚・井辺前山 46m 5世紀末〜6世紀初め 玉石散布 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
16 晒山2号墳 紀ノ川北岸地域 28m 5世紀末〜6世紀初め 家形埴輪 「わかやま古墳ガイド」
編著・紀伊風土記の丘
(ニュース和歌山 2022)
17 前山A116号墳 岩橋千塚・前山A 21m 5世紀末〜6世紀初め - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
18 花山33号墳 岩橋千塚・花山 32m 5世紀末〜6世紀初め - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
19 井辺前山26号 岩橋千塚・井辺前山 13.5m 5世紀末〜6世紀初め - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
20 大谷山28号墳 岩橋千塚・大谷山 27m 6世紀初頭頃 埴輪 和歌山県立紀伊風土記の丘
・収蔵品データベース
21 大日山35号墳 岩橋千塚・大日山 105m(墳長86m) 6世紀前半 特有の埴輪 「和歌山市の文化財」
22 大日山1号墳 岩橋千塚・大日山 31.5m 6世紀前半 埴輪 和歌山県立紀伊風土記の丘
・収蔵品データベース
23 大谷山22号墳 岩橋千塚・大谷山 墳長67m 6世紀前半 埴輪 「和歌山市の文化財」
24 大谷山20号墳 岩橋千塚・大谷山 37.6m 6世紀前半 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
25 大谷山27号墳 岩橋千塚・大谷山 21m 6世紀前半 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
26 前山A58号墳 岩橋千塚・前山A 19.6m 6世紀前半 埴輪 和歌山県立紀伊風土記の丘
・収蔵品データベース
27 井辺八幡山 岩橋千塚・井辺前山 88m 6世紀前半〜中葉 井辺10号墳、埴輪 「和歌山市の文化財」
28 井辺前山3号墳 岩橋千塚・井辺前山 33m 6世紀前半〜中頃 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
29 寺内18号墳 岩橋千塚・寺内 28.6m 6世紀前半〜中頃 - 「岩橋千塚古墳群」丹野 拓
(新泉社 2018)
30 知事塚 岩橋千塚・前山B 34.5m 6世紀前半〜中頃 前山B67、石障 同上、「わかやま古墳ガイド」編著・紀伊風土記の丘(ニュース和歌山 2022)
31 井辺前山6号墳 岩橋千塚・井辺前山 52m 6世紀中頃 馬具、須恵器、朝鮮伝来陶質土器 「和歌山市の文化財」
32 郡長塚 岩橋千塚・前山B 30.5m 6世紀中頃 前山B112号墳、鉄製品、須恵器 和歌山県立紀伊風土記の丘
・収蔵品データベース
33 天王塚 岩橋千塚古墳群 88m 6世紀後半 奥壁は5.9mの高さ 「和歌山市の文化財」
34 将軍塚 岩橋千塚・前山B 42.5m 6世紀後半 前山B53号墳、銀環、玉類など 「和歌山市の文化財」
35 平井1号墳 紀ノ川北岸地域 22m 6世紀後半 埴輪窯 「わかやまの文化財」

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和歌山市内の前方後円墳のリスト(時代情報なし)

和歌山県教育委員会・埋蔵文化財地名表」に載っていても、推定築造年代や大きさについての私がまだ情報を得ていないものもあります。次はそのリストです。

和歌山市内の前方後円墳の一覧表
No. 古墳名 全長 古墳群名
1 八王子山14号墳 36m 八王子山
2 晒山10号墳 35m 晒山
3 六十谷6号墳 25m 六十谷
4 八王子山3号墳 21m 八王子山
5 八王子山4号墳 19m 八王子山
6 小山古墳 - -
7 北山1号墳 - 北山
8 直川八幡山2号墳 - 直川八幡山
9 直川八幡山7号墳 - 直川八幡山
10 別所4号墳 - 別所
11 上野7号墳 - 上野
12 山口3号墳 - 山口
13 大谷山26号墳 - 岩橋千塚・大谷山地区
14 東池4号墳 - 東池
15 和田2号墳 - 和田
16 和田3号墳 - 和田
17 和田4号墳 ? 和田
18 吉原 ? -

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